祭りの水墨画 日本と中国を結ぶ 傅益瑶の挑戦

11月27日(日)午前9時 NHK/日曜美術館で放送されます。 8月の本番には“祭り女”の本領を発揮し、連に飛び入り参加し、観衆の喝采を浴びました。帰ってから早速製作に取り組み、縦2m横3mの大作を完成し、放送されます。再放送は12月4日(日)午後8時。

 

 

祭り-日本の美と心が凝縮した場を中国伝統の水墨画で描く画家、傅益瑶

 

ことし、北京の美術館で《端午頌》という絵が公開され、話題となった。長さ16メートルにも及ぶその絵に描かれているのは近年復活した湖南省の「端午節」の祭り。人々が竜の守り神を祭る様を描き、水墨画といえば風景画という常識を覆した。この絵を描いたのが、傅益瑶だ。36年前に日本にやって来た彼女は、祭りを見るうちに、これぞ「日本の美と心が凝縮した場」だと感じるように。以来、日本各地の祭りを描いてきた。

 

傅益瑶の創作の陰には、“中国一の水墨画家”と言われながら、文化大革命の嵐の中、61歳で亡くなった父の存在があった。父の死後、自身も過酷な生活を送る中、傅益瑶は、父から教わった水墨画で生きていこうと決意したのだ。

 

 それから三十年有余年、99の作品を描いてきた傅益瑶がこの夏、100作目となる大作に挑んだ。題材は徳島の「阿波おどり」。踊りを覚え、祭りに参加し、沸騰するエネルギ-を体感しながら、こまやかな指の動きから独特な所作まで丁寧に描いていく――。

 番組では、製作に没頭する傅益瑶の姿に密着するとともに、これまでの作品の数々も紹介。傅益瑶が、祭りの中に見いだした日本人の精神、そして美意識に迫る。